今回は、100mile、100kmともに上位で接戦が繰り広げられました。そんな中、100mile女子を制した澤田由紀子さん。ほぼ最後尾から優勝に至るレース展開についてお聞きしました。

Q. 優勝おめでとうございます。いろいろなトレイル大会に参加されていますが、初めての彩の国、いかがでしたか?

ありがとうござます。
過去最高の走りができ、タイムと順位には自分自身がとても驚いています。
会場では選手、応援者、スタッフの熱い思いというか一体感を感じたのが印象的でした。それとエイド食、最高でした!運営もコースも日本屈指の素晴らしい大会だと思います。

Q. サウス2から内山さんが猛烈に追い上げて来ていました。気になりましたか?

竹寺のエイドで行き会った時に気づきました。
「わー、本物の内山さんだ!かわいい♡」と初めて走る本物の内山さんを近くで見てテンションが上がりました。こんな凄い方から追われることを誇りに思い自分自身を鼓舞しました。でも焦ることなく自分のペースは守りました。

Q. UTMFからの連戦でした。疲れはありましたか?どのように疲労抜きされましたか?

疲労は多少ありました。UTMFの後は1週間完全休養しましたが、その後トレーニングで負荷をかけてしまったのが原因です。疲労抜きとしてホットヨガ、もみほぐしマッサージ、温泉&サウナ、ピアノ(気分転換)、食事は納豆、豆腐、赤身の肉、卵、等たんぱく質を多めにその他は消化の良さそうなもの。暴飲暴食は控えました。

Q. 改めて、走歴を教えてください

ラン歴20年
中学は吹奏楽部、高校は帰宅部、社会人になってダイエット目的でゆるゆるラン開始。
出産、子育てのブランクを経て2017年頃から真剣に走っています。

Q. ロードよりもトレイルが好きですか?

そうですね。ロードは苦手です。でもトレイルの走力を上げるにはロード練が重要だと実感しているのでここ3年位週1でスピード練をやっています。
と言っても今だに1kmインターバル4分切れず、決して早くはありません。誰か早く走る方法を教えてください!

Q. この大会を走るきっかけは?

女子では浅原かおりさんや内山みちこさんのような憧れの選手しか完走していないと聞いて、何年かかってもいいから完走してみたい!と思いチャレンジしました。

Q. 今大会に向けてのトレーニング、準備など何か取り組まれましたか?また、試走されましたか?

長時間動き続けることと眠気対策のトレーニングをしました。
疲れている時にあえてロング走(2部練)をする、睡眠不足の夜にあえてナイトランをする等。限られた時間の中で効率よく追い込めるかを工夫しています。
試走は昨年3回、今年1回。試走はやってて良かったです。

Q. 大会前半年の月間走行距離どの程度でしょうか?トレイル率は?

300~500km。トレイル率は50%くらい。

Q. 60代サイラー伊藤さんとトレーニングされていると聞きました。どのようなトレーニングされているのでしょうか?伊藤さんはどんな方ですか?

伊藤さん(通称:ハチマキさん)は長野ではレジェンドとして有名です。
夏季は月に2~3回 週末に30~60kmのロング走、北アルプス・美ヶ原・志賀高原・信越エリアなど。
冬季は長野の山は積雪で走れないので長野県飯田市元善光寺から長野市善光寺170kmワンデーランをやりました。毎回ぐったりしますが妥協や言い訳は許されません(笑)。
本気で楽しむスタイルは評判が良く県外のラン仲間からトレーニングのオファーもあるようです。
ハチマキさんはやると言ったらやる方なので、最高齢サイラーを必ず達成するだろうなぁと思います。山でねじりハチマキを見かけたらぜひ声をかけてみてください(笑)

Q. 今大会はどのようなレースプランでしたか?

ノース  10時間 休憩30分
サウス1 11時間30分 休憩30分
サウス2 12時間  予備1時間
これはあくまでざっくりのプラン。タイムにこだわりすぎないで前半は多少遅れてもいいから100kmまでは抑えようと思っていました。勝負は100km以降走れるかどうか、だと思っていたので。結果的に 前半消耗を抑えて、後半は予想以上のペースアップができ、プラン通りの100点満点の走りができました。

Q. 前の夜、朝食は何を?

3日前からカーボローディングしています。食いだめすると調子が良いです(笑)
前夜:からあげ定食、チョコパフェ、菓子パン2個、飲むヨーグルト
朝食:いなりずし、カップラーメン、菓子パン、饅頭、飲むヨーグルト

Q. ノースどうでしたか?

ほぼ最後尾付近でスタート。お散歩の感じで決して追い込まず、のんびり走りました。
下りは飛ばさず丁寧に。

Q. サウス1どうでしたか?

夜間はそもそも飛ばせないので、引き続きアップのつもりでゆっくり。
このままサウス2も同じペースで走れば完走できる感じがしました。サイラーが見えてきました。

Q. サウス2どうでしたか?

ペースを少しずつ上げて最後20kmは全力でした、試走よりも早かったです。
100km以上走っているのに追い込んでも疲労困憊しないし感覚が研ぎ澄まされていくような感覚、ゾーンに入ったような興奮状態だったと思います。
これも内山さんとのバトルを仕掛けたハチマキさんのお陰です。まさかレース本番でも楽をさせてもらえないとは思っていませんでしたが(笑)

Q. ニューサンピアでのピットインではどのようなことをしましたか?

あらかじめ準備しておいたメモ書き通りにこなしました。
ウェア、ソックス、シューズ全て交換。足裏にガーニーグー。ジェルやおやつを補充。これらのことをやりながら、カレー・パン・せんべい・ゼリー・フルーツ缶等をできる限りたくさん胃袋に流し込む。話しかけてくれる方と会話を交わしパワーをもらう。所要20分程度。

Q. うまくいったことは?

終始、自分自身をコントロールできたことです。
マイルの経験は3回 まだまだ初心者ですが、過去の失敗からマイルにはセルフコントロールが最も重要だと感じています。
潰れない程度にスピードを調整したり、補給したり、自分の限界を探りながら程よく追い込む・・・みたいな感じです。
それから、アスリートランというソックスのお陰で足裏のふやけやマメなどトラブルなく快適に走ることができました。足のトラブルにお悩みの方にはおススメできるソックスです。

Q. うまくいかなかったことは?

レース直前にペース走をしてしまって、一気に背中、臀部、もも裏、ふくらはぎがパンパンになり疲労抜きに失敗してしまったこと。普段行かないのですが大会前にマッサージに3回行きました。

Q. 一番辛かったのは?

サウス1で股ずれ+生理になったこと。
股ずれは30分おきにガーニーグーを塗ってガマン。生理は自分ではコントロールでいないので付き合うしかない。
トレーニングやレースでどう対応しているか相談されることがありますが、個別に聞いてください(笑)

Q. 一番楽しかったのは?

初対面の選手や久しぶりに再会する選手と話をしながら走っている時は、レースであることを忘れるくらい楽しくてリラックスできました。
特に女子3位の谷口さんとは2019台湾フォルマサ大会で知り合って以来久しぶりの再会だったのですが、TANBA100や今後のレースの事を話しながら走った時間は良い思い出になりました。旦那さんがペーサーで走っておられて素敵なご夫婦でした。

Q. 補給やエイドで摂取について

だいたい30分おきに水分+軽食を口にしました。スポーツ羊羹、くるみ餅、おにぎり、どら焼き等。
後半はキプチョゲや鈴木健吾愛用のモルテンのドリンクとジェルを投入、これは効きました。

Q. 眠気ありましたか?どのような対策しましたか?

眠気はなかったです。日頃から不規則な生活をしているので(笑)

Q. トップは後方が気になります。どのようにメンタル保ちましたか?

内山さんは雲の上の存在で憧れの選手です。経験も走力も及ばないと分かっていたので無理して飛ばしませんでした、そんなことすると自分が潰れてしまいますからね。
やったのはただ一つ、自分のパフォーマンスにだけ集中したことです。
限界を超えないギリギリのペースで攻める、下りは飛ばしつつも衝撃は抑えて丁寧に、登りは消耗しない程度に早歩き、こまめに補給+股ずれのガーニーグー、エイドではたくさん食べる等。今、自分にできることを冷静に一つ一つ考えて実践したことで、良い状態を維持して最後まで走ることができたと思います。

Q. 大会後に体へのダメージなどありましたか?どのようにメンテナンスされていますか?

出産時のようなアドレナリンが出た感覚があり、ゴールした夜は体中ちぎれるような焼かれるような激しい痛みに苦しみました。
翌日には回復しましたが、レース後の苦しみとしては過去最高でした。
メンテナンスは、ホットヨガ、セルフマッサージ、ストレッチ。特に痛い部位は筋肉が固くなっている事が多いのでお風呂の中でグリグリと強くほぐします。痛みをこらえてこまめにグリグリすると徐々に快方に向かいます。

Q. 今後のレースや活動について

エントリー済みは6月マウント湯沢、9月信越トレイルマイル
検討中なのは10月LAKE BIWA100 又は 10月広島恐羅漢
また、苗場まで延長し全長80kmから110kmのロングトレイルに生まれ変わった信越トレイルワンウェイ、群馬県境トレイルワンウェイも興味あります。
将来の大きな夢はUTMBとウエスタンステイツ

Q. 今回の装備一式教えてください

シューズ:スポルティバ ジャカル
ソックス:アスリートラン 
ウェア:スポルティバ MOVE T-SHIRT、スポルティバ DEFY T-SHIRT、ファイントラック
パンツ:スポルティバ TIMING SHORT、ファイントラック スカイトレイルショーツ
アームカバー:ファイントラック
リュック:ネイサン ベイパーハウ2.0 12L
ライト:Led Lenser NEO10R、milestone MS-G2 (USB Multi Function Model)
手袋:100ショップ伸縮タイプ

Q. また参加したいですか?

 はい、黄色いゼッケンで走ってみたいですね

Q. 来年の参加者に一言

本気でチャレンジしてください!そうすれば結果がどうであれ得られるものは大きいと思います。
  

Q. 最後に自由に感想を

サイラーの名に恥じぬよう、自然のフィールドを安全に走りマナーを守ってガシガシ楽しんでいきたいと思います!

澤田さんの記録

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