@飯盛峠 Photo by Takumi Ishiyama

駿河の国で毎月100マイル走る衆の噂は耳にしていましたが、今回100マイル個人女子、新記録となる30時間54分10秒で優勝した内山さんもそちらに参加していたそうです。いやはや強いはず。ロングレースでは常に入賞している内山さんにお聞きしました。

Q. 走歴について教えてください

走歴7年。トレイルランニングは6年です。

Q. フルマラソンのベストタイム

3:14:57です。(2019年2月 静岡マラソン)

Q. この大会を走るきっかけは?

これまで数々の100マイルレースに出場してきましたが、この大会の完走率の低さを知り血が騒ぎました。
アップダウンの多い苦手なコースなので完走できるか不安でしたが、根性試しのつもりで思い切ってエントリーしました。

Q. 今大会に向けてのトレーニング、準備について

昨年1年間、長距離好きのラン仲間と「月例100mile」という企画を立ち上げ、毎月1本100マイルを走りました。
そのおかげで長時間走り続けるスタミナとメンタルが鍛えられたと思います。
今年に入ってからは、できる限り彩の国を想定した急登、激下りがある山へ通いました。

スタート前、駿河の国の猛者たちと。内山さんは中央

Q. 試走されましたか?

サウス1周目に行きました。
このレースは、コース上の誘導スタッフが少ないことや、あらかじめコースに慣れるという意味でも可能であれば一度下見することをおすすめします。
私は、昨年の完走者とご一緒させて頂き、その時に聞いた様々なアドバイスが当日とても役立ちました。

Q. どのようなレースプランでしたか?

完走35時間(ノース:8.5時間 サウス①:12.5時間 サウス②:14時間)
とにかく完走することが目標でした。
時間内完走は無理かもしれないけど、絶対最後まで走り切りたいから制限時間を過ぎても待っていてほしい。と一緒に来た友達にお願いしていました。

Q. ペーサーをつけようと思いませんでしたか?

100マイルの厳しさを自分一人で乗り越えたいという気持ちがあり、ペーサーはつけませんでした。
…と言いながら、真夜中にサウス2周目に出発しなくてはいけない時はペーサーがいる選手をうらやましい!と思ってしまいました。

Q. 前の夜、朝食は何を?

前の夜は、ホテルでコンビニのおにぎりとうどん。(ビール🍺も飲んじゃいました)
朝食は、から揚げ弁当とバナナとオレンジジュース。

Q. ノースコースどうでしたか?

序盤はとにかくスローペースで。と決めていたので、周囲のペースに流されないようにゆっくり進みました。
日中の暑さに苦戦したランナーが多かったようですが、私は元々暑さに強い方なので大丈夫でした。
当初の計画通り、ニューサンピアでの休憩を含め8時間半ほどでした。

Photo by Mochizukiさん

Q. サウスコースどうでしたか?

まだまだ元気で楽しく走れました。
試走した時に、最大の難所。と捉えた西吾野駅のトンネルをくぐった後の傾斜のきつい登りは、やはり相当苦しかったです。
約12時間後にまたここにくるのか…と想像すると、恐怖のような、楽しみのような。

Q. サウス2コースどうでしたか?

天覚山から竹寺の細かいアップダウンに体力を消耗し、一気に疲れが出て気持ちもネガティヴに。
その時ちょうど一緒に参加した友達に会い、しばらく並走しました。一番キツい局面で、さほどペースダウンすることなく淡々と走ることができ、とても助かりました。

Q. うまくいったこと、うまくいかなかったこと

うまくいったのは、ペース配分。いつも序盤抑えて後半追い上げるタイプなのですが、今回も終盤まで大きく崩れることなく、最後まで元気に走り通すことができました。
うまくいかなかったのは、お腹につけていたライトが接触不良で点かなくなり、全く意味のないものを一晩お腹につけていたこと。

Q. 一番辛かったのは?

サウス2周目の天覚山から高山不動尊までの急登、激下りの連続は、笑っちゃうほどキツかったです。
「これが噂に聞いていた彩の国かー!」と聞きしに勝る難コースに感動さえしました。
激下り箇所は、立って降りるのが怖くて、体育座りの状態でずるずると滑るように降りました。

Q. 一番楽しかったのは?

それまでヘロヘロだったのに、関八州見晴台からゴールまでは自分でも理解できないほど元気で、快心のラストスパートができたこと。
それと地元静岡の友達が応援に来てくれたことです。早くみんなに褒めてもらいたくて頑張れました(笑)

Q. 体へのダメージ(マメ、スレ、胃腸トラブルなど)ありましたか?

足の裏が少し痛かっただけで、大きなトラブルは一切ありませんでした。
100マイルを走るうえで身体が丈夫なのが私の一番の強みだと思っています。

Q. 補給について教えてください

45分に一度粉飴ジェルを摂取しました。
胃腸トラブルの経験がなく、レース中も食欲旺盛なので、エイドの固形物もたくさん頂きました。
クリームシチュー、おいなりさん、フルーツポンチ、コーヒーゼリー、お団子等どれもとても美味しかったです。

Q. 眠気対策には何を?

明け方少し眠気を感じました。周りに誰一人ランナーさんがいなかったので、「起きろー走れー」と声を出して自分に喝を入れて対処しました。

Q. メンタルについて

確かに苦しい局面もありましたが、「今、憧れのレースに挑戦しているんだ」というワクワク感が上回り、終始興奮状態だったように思います。
月例100mileで培った経験と、ネガティヴ思考を断ち切る癖が活かされたと思います。

Q. 完走の秘訣は?

ノース①は暑いので、水分・塩分をしっかり摂り、無理をしないこと。まだまだ先は長いです。
サウス①はノースよりハードなコースですが、陽が落ちて涼しくなってくるので走りやすくなります。
サウス②は疲労もありますが、最終周なのでもう行くしかありません(笑)
サウス②のスタート時にもらうタスキが勇気を与えてくれます。

Q. 次のレースは?

スパトレイル72km

Q. 今回の装備一式について
  • トップス Patagonia タンクトップ
  • パンツ Patagonia Strider Pro Short 3
  • シューズ Nike Zoom Terra Kiger 5
  • ヘッドライト Ledlenser H8R
  • ソックス injinji
  • ザック UltimateDirectionADVENTUREVESTA
Q. また参加したいですか?

走った直後は「もう二度と出ることはない」って思ってたんですけどねぇ…
今は「どれだけキツかったかもう一度確かめたい」と思っちゃってます。

Q. 自分へ一言

よくやった!ナイスラン!

Q. 来年の参加者に一言

個人的には国内で一番大変な100マイルレースだと思っています。過酷だからこそチャレンジし甲斐があるし、完走できた時の達成感もひとしお。
ハードなコースや時間設定、あまり眺望のないコース(ちょっとはあります)など困難な部分と、各エイドの応援やエイドの美味しい食べ物など楽しい部分があり、そのものすごいツンデレ感が病みつきになりますよ!
是非勇気と覚悟を持って挑んで下さい。

Q. 完走のご褒美ありましたか?

ネット速報を追ってくれていた多くの方に祝福のメッセージを頂いたり、祝勝会をして頂きました。
あまりの反響に驚きましたが、それが一番のご褒美でした!

Q. 最後に自由に感想を

レース中に応援して頂いたスタッフの方々、昼夜を問わずおもてなしをして頂きありがとうございました。
ゴールした時、ニューサンピアにいた方みんなが万歳三唱で迎えてくれたのが本当にうれしかったです。
今年一番の大挑戦でしたが、私を心身ともに成長させてくれた「最高に過酷で最高に楽しい」大会でした。

ありがとうございました。

毎月100マイル走っちゃう面々。右の梅原さんも年代別1位。ドヤ!笑

深夜に順位を落とすも安定した走り

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