今年は終盤まで上位陣が接戦、上位3人は29時間台でのゴールでした。
連覇された吉田 幸徳さんにお話を伺いました。
吉田さんの前回の優勝インタビューはこちら
第14回大会の吉田 幸徳さんの記録
260k(259.9㎞)カテゴリ優勝
記録:29時間00分12秒
平均:6分41秒/km
260k吉田さん連覇 pic.twitter.com/vGuLo6Z9UD
— トレニックワールド (@TrainicW) March 10, 2024
Q. 260km優勝おめでとうございます。感想をお聞かせください。
A. 今回は実力者が多くエントリーしていたので優勝は難しいかなと思っていましたが自分のペースで行けばもしかしたらという思いはありました。優勝出来たことは素直に嬉しいです。
Q. 2回目の260kmですが何か目標や意識していた事はありましたか?
A. 第一目標が29時間切り、第二目標が昨年越え、第三目標が完走としていました。Q. 20時間すぎても後続との差は20分程度でした。追われるプレッシャーありましたか?どのようにコントロールしましたか?
A. まだそれなりに走れているのに差が広がらないのでプレッシャーはありましたが、1kmで1分縮められても20kmは追い付けられないのでトラブルが起きない走りを心掛けていました。Q. 前回より約1時間速い29時間12秒という記録でした。記録には満足していますか?
A. 満足していますが、あと13秒早くゴールしたかったです。Q. ゴールした時に非常に元気で余力がありそうに感じました。もっと走れましたか?
A. どこまで持つかはわかりませんが、もう少しなら走れたと思います。Q. 序盤の河川敷は強風でした、どのように対処されましたか?
A. 予定していたペースはあったのですが、タイム的なペースだと体力消耗しそうだったので、感覚的なペースで走っていました。Q. 小江戸の走り方で気をつけていることは?
A. オーバーペースになりやすい区間ですので川越への目標到着時間を決めて、それに向けて一定ペースで走っています。Q. 吉見エイドでは22位/29人と出遅れた感が見られましたが、トラブルがあったのでしょうか?
A. 皆さん同じ条件ですが向かい風に手こずりました。玉淀までは過去最遅タイムでした。Q. 小江戸を終えて川越では先頭との差は1時間以上離れていました。意識していましたか?
A. 多少意識していましたが、まだ序盤なので気にしないようにしていました。成願寺以降のタイム差が開くか縮まるかを確認していました。Q. 川越エイドで装備変更、荷物の出し入れはありましたか?
A. 靴下替え、足指・股への皮膚クリーム塗りおよび補給食の補充を行いました。Q. 大江戸の走り方で気をつけていることは?
A. 信号が多い区間となりますので、先の信号を見て赤になりそうだったら歩いて体力温存しています。Q. 大江戸は去年よりも気温が下がり苦労していた方も多いようでした。どのように対応されましたか?
A. 寒いのは平気な方なので、インナーを着ていたくらいです。例年ならランシャツ1枚で走っています。Q. 2度目の川越、タイムは去年と同じ22時間53分。そこから60kmで1時間短縮されています。去年との違いは?
A. 去年は日差しが出て気温も上がり暑かったのでおかわり区間で歩いてしまいました。今年は気温も上がらず暑くならなかったのが良かったと思います。超ロング走は後半の落ち込みが一番タイムに影響しますので。
Q. 2度目の川越エイドで装備の変更ありましたか?
A. 装備変更はありませんでしたが、食事および補給食の補充を行いました。Q. おかわりの走り方で気をつけていることは?
A. すれ違うランナーへ積極的な声掛けをしています。皆さん返してくれるので、エール交換で元気付けられます。Q. 河川敷は再び強風でした。初日と対応の違いなどありましたか?
A. 初日の風がひど過ぎたので、2日目はそんなに気にせずに走ることができました。Q. いつ優勝を確信しましたか?
A. 2位との差がそんなに離れていないのは折り返しで知っていたので、ゴール近くまで安心できなかったです。Q. 寒さに強いのは体質でしょうか?普段の練習も薄着ですか?
A. 動いていれば寒いのには大丈夫な体質です。練習は薄着ですが、一般生活では厚着です。Q. 辛かったこと、苦労したことありましたか?
A. あったかもしれませんが、覚えていません。楽しかった記憶に上書きされてしまいました。Q. 他の選手と話しながら走りますか?
A. 多少の会話はしますが、ずっと話しながらの走りは少ないと思います。Q. 夜は一人になる時間も多いと思います。眠くならない、弱気にならない方法はありますか?
A. 見えないけど皆も走っていると思うと心強くなります。曲がる場所やエイドなど遠くない目標地点を定めて走っています。Q. 体へのダメージ(マメ、スレ、胃腸トラブルなど)ありましたか?
A. 前日からの皮膚保護クリームのおかげもあり、マメ・スレはほぼありませんでしたが、ゴール後の夜に気持ち悪さが襲ってきました。おかげで美酒が味わえなかったことが残念です。Q. 大会後に筋肉痛やむくみなどありましたか?
A. 終わった直後はぴんぴんしていましたが、翌々日以降はむくみが発生しました。むくみはいつものことですが、筋肉痛はほぼありませんでした。深部疲労はかなりあると思います。Q. 今回の装備一式教えてください、前回からの変更点ありますか?
A. 大きな変更点はシューズです。シューズ:asics エボライド3
インナーパンツ:T8 コマンドー
タイツ:MIZUNO BG9000
パンツ:asics マルチポケット
ソックス:RxL Type-G
ザック:マウンテンハードウェアー トレランザック
インナー:finetrack ロングスリーブ
シャツ:asics ノースリーブシャツ
Q. エイドではどのようなものを飲み食べ補給されていますか?
A. そのエイドの主食。飲み物は序盤はスポーツドリンク系で終盤はコーラ。コーラを取るようになったのは今年からです。Q. コーラを飲むようになった理由は?
A. 元々カフェイン錠を有効に作用させたいため、カフェイン飲料はレース中取らないようにしていましたが、ある時終盤に飲んだらエネルギーが取れた気がしてそれ以来終盤に飲んでいます。Q. 今回の携帯食は?
A. いつもと同じで、カロリーメイト+スティックはちみつです。Q. 走りながらの補給にルールはありますか?
A. 15km以降、10kmを目途にカロリーメイト1本以上を目安としていますが、忘れることも多いです。Q. 最近の吉田さんの大会記録を見ると260kmは短いほうですね。長い距離を走ることで自分の中で変化した事はありますか?
A. 耐性が付いたと思います。以前はレース後1ヶ月位は走れませんでしたが、今は1週間後から徐々に走れるようになりました。Q. 小江戸大江戸200kmとそれ以上の距離のウルトラマラソン大会を走る際、変えていることはありますか?
A. 小江戸大江戸に向けては、例年暑いので、暑熱順化のため1ヶ月前から42度の湯船に10~15分浸かっていました。それと、ヘッドライトの明るさは変えています。他のウルトラマラソンは暗いので視覚や眠気対策のため明るくしています。
また、大江戸では信号が多いので歩く前提でのペース配分をしています。
Q. レースに向けて調整していることはありますか?
A. 普段は好きなだけ飲み食いして体重が増えるので、3週間前くらいから徐々にダイエットしています。普段重い体重で練習しているので本番が楽になります。また、便秘気味でレース中に腹を下すことが多いので、レース2日前に下剤を飲んでいます。
Q. 長距離走は同じ箇所に負荷がかかります。途中でフォームやシューズを変えたりしますか?
A. フォームは変えない意識をしていますが、シューズは変えるときもあります。序盤は軽量シューズで足裏痛が我慢できなくなってきたら、クッションシューズに履き替えます(ドロップバッグを置ける大会のみですが)。Q. 普段の練習内容について教えてください。
A. 月曜日に帰宅ラン(20km)、水曜日に陸上トラックで10kmペース走(+往復10km)、土曜日にノンストップロング走(30km~70km)、+木曜日に気が向けば、が基本です。 いずれも最後にウィンドスプリント3本を行っています。また、3日連続で休まないこと。またペース感覚を養うため、内容によっての速い遅いはありますが、一定ペースで走っています。
Q. オーバーナイトや数日に及ぶ長距離走に有効な練習とはどのような内容でしょうか?
A. 会社の昼休みに15分程度の昼寝をしているのが良いと思います。数分寝て脳がすっきりします。走りでは50km以上止まらないで走る練習が有効だと思います。
Q. 走力維持にトレーニングデータ等を観察されていると思いますが、特に意識している数字はありますか?
A. ペースと心拍。練習内容によりますが、一定ペースで走り、自分の感覚と心拍の差を確認しています。Q. 50代半ばで体力的におちる年齢だと思いますが、維持できている秘訣は何でしょうか?
A. 一番の衰えを感じる部分は可動域が狭くなってきていることです。その対策としてセルフストレッチやマッサージをしています。マッサージは妻にしてもらっているので感謝しています。Q. 肉体は消耗品なので好きなだけ走り続けるわけにもいきません。気持ちと現実にどのような折り合いをつけていますか?
A. 練習で調子が悪かったら走るのをやめています。落ち込むこともありますが割り切るようにしています。Q. 次のレース予定
A. 川の道フットレース514kmです。Q. 今後の目標について教えてください。
A. 10月にBackyard Ultra の国別対抗戦があるので、日本チームの優勝です。応援が力になるので、応援よろしくお願いします。Q. 最後に自由に感想を
A. 中高年の皆様、体の衰えを感じ落ち込むこともあると思いますが、私も苦しんでいます。長く走れるようにお互い楽しみましょう。