(Photo by Takumi Ishiyama)

2021年にトレイルランレースへ参戦して以来、数々の大会で優勝を重ね、いま最も勢いに乗る水谷冠太さん。
トレイルランニング界ではまだまだ少ない20代のトップランナーとして、次世代を担う存在として大きな注目を集めています。競技への思い、これからの目標についてお話を伺いました。
(インタビュアー:宮寺真美さん)
水谷冠太さんの記録 / 100mile / 26時間53分18秒
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Q. 彩の国100M、初出場での総合優勝、おめでとうございます!走ってみていかがでしたか?タイムや順位など、何か具体的な目標を設定されていたのでしょうか?
ありがとうございます。過去に走った方々から厳しいコース設計だということは聞いてましたが、噂通り厳しいレースで辛かったです。
達成出来ませんでしたがタイムに関しては最初は26時間くらいを目標にして走っていて、それで良い順位も付いてきてくれたら嬉しいなと思ってました。
Q. 今年は暑くてバテてしまう参加者も多かったようですが、暑さには強いですか?
暑さには強い方だと思ってます。汗の量は人より多いので水分やミネラルは意識的に摂ってました。ニューサンピアに帰ってくるアスファルトのロードや日向は暑かったですけど、それ以外はそこまで暑さは感じませんでした。



Q. 最大心拍数や大会中の平均心拍数はどのくらいでしたか?
レース中そこまで意識はしてませんでしたが、時計のデータを見ると最大心拍数は152bpm、平均心拍数は129bpmでした。どちらかと言うと、体感の強度を優先してベースメイクをしていました。
Q. 走歴・トレイルランニング暦を教えてください。
走歴、トレイルランニング歴、共に5年目です。大学の山岳部でもっと1日に沢山の山に登りたいと思って走り始めるようになりました。
Q. 中学ではサッカー部、高校では陸上部、大学では山岳部に所属されていたとうかがいました。それぞれ異なる競技や活動に取り組まれていますが、競技を変更されたきっかけや、大学で山岳部を選ばれた理由について教えてください。
高校でも小中続けてきたサッカーを続けようと思ってましたが、そこまでサッカー部が強い高校でなく、陸上部が強くて陸上部の先生方から誘って頂いたので陸上部にしたって感じです。(笑)大学から山岳部に入ったきっかけは、高校で全国大会でも入賞できて陸上はやり切った感があったのと、昔から登山には興味あって雪山など山の知識など勉強したかったからです。
Q. お父様がトレイルランニングをされていたそうですが、今でも一緒に走られることはありますか?また、お父様から受けた影響や、印象に残っている思い出があれば教えてください。
父と一緒に走りに行くことはないです。(笑)たまに、登山は行ったりしますけど、たまにって感じです.(笑)小学生の頃とかは、伊吹山や富士山に一緒に行ったりしていたのでそれはいい思い出です。
Q. マラソン大会のベストタイムを教えてください。
ちゃんとタイムを狙って走った事はないのでなんとも言えないですが、去年走った時はエイドも楽しみながら気持ちよく2時間42分で走れました。今年の冬はちゃんとタイムを狙って練習して走ってみたいなと思ってます。
Q. ロードマラソンとトレイルランニングでは、走る楽しさや難しさにどのような違いを感じていますか。
ロードマラソンの場合、車で行ける所を走りますが、トレイルランニングは自分の足でしか行けない場所に行って色んな景色が見れるのが楽しいなと思います。また、上り下り平坦、地面のサーフェイスなども変化があってその時々に色んな動きをするので、ただ単に時計の数字をみてペースメイク出来ないなど、そこが難しくて楽しいなと思います。
Q. 直近半年の月間走行距離と累積標高を教えてください。
平均すると月360km、8800mD+でした。冬は雪で山を走れていないのと、3月は卒業旅行などで遊びまくっていたので、ほとんど走ってないので少なめです(笑)。ただ、4月だけで言うと550km13000mD+で過去一番走行距離は多かったです。
Q. 使用しているGPSデバイスは何ですか?
corosのapex2proです。
Q. 大学院では、どのようなテーマについて研究されていたのでしょうか。また、その研究テーマを選ばれたきっかけや、研究を通して得た学びが現在の活動に生かされていることがあれば教えてください。
大学院では、ロボットの研究をしていました。新しいアクチュエータ(駆動源)を開発して制御したり、画像処理などの研究をしていました。この研究になったのはジャンケンで負けて余ってたからです(笑)生かされてる事もあんまりないかもしれないです(笑)頑張って絞り出して言うと考える力はついたかもしれません(笑)
Q. 4月から社会人として新たな生活をスタートされたそうですが、お仕事はスポーツに関わる分野なのでしょうか。 社会人になって生活リズムや環境も変わったと思いますが、日々のトレーニングとの両立で苦労したことや、これまでとの違いを感じることがあれば教えてください
仕事はスポーツは全く関係ない会社で普通のサラリーマンとして働いてます。練習の時間を確保できるか心配していましたが大学院の時より規則的な生活になって練習時間はむしろ増えた気がします。まだ始まったばかりなので、これが続くかは分からないですが、両立出来るように頑張っていきたいと思います。
Q. 「彩の国」大会に出ようと思ったきっかけは何でしたか?
毎年盛り上がっていて注目されている大会だったのでいつか出てみたいなと思っていたのと、土日で出場することが可能なので、新社会人になった時でも出場出来ると思ったからです。
Q. 「彩の国」に向けたトレーニングはどのように組み立てましたか?
トップレベルで活躍されている方と比べると、まだまだ自分は練習量が少ないので練習量を増やすことを意識しました。ただ、増やしすぎると故障のリスクもあるので故障しないような量っていうのも同時に意識していました.
Q. スタート直後は2位につけ、サンピア(53.8km)でトップに立たれました。その後は首位を守り続ける展開となりましたが、レース中は後続との差を意識されていましたか。それとも、ご自身のペースを守ることに集中されていたのでしょうか。
途後続との差は、あまり意識したくなかったですが意識しちゃいました。ただ自分のペースは崩さないようにという意識は強く持ってました。

(Photo by 山村浩太郎さん) スタート直後。



Q. エイドは利用されましたか?嬉しかったメニューなどありましたか?
エイドは沢山利用させてもらいました。飲み物の種類が沢山あってその時飲みたいものとかがあって嬉しかったです。とくにコーラとカルピス、麦茶、乳酸飲料みたいなものはよく飲んでました。他にも食べ物の種類も沢山あってカレーやパスタなど色々頂きました。
Q. うまくいったこと、反対にうまくいかなかったことがあれば教えてください。
うまくいったことは暑さ対策が出来ていたことです。レース前の期間は長風呂したりサウナに入ったり暑熱順化対策はそれなりにやったので熱中症などにはならず良かったと思っています。逆にうまくいかなかったことはペースメイクです。South2の途中からかなり消耗してしまって、ゴールまで惰性で進むような感じになってしまったので、もう少し最後までプッシュ出来るようにすれば良かったなと思います。

Q. 一番楽しかった瞬間は?
楽しかった瞬間は、知り合いやエイドの方、コース上の方々に応援して頂いてた時です。声をかけて応援して頂けるとやっぱり元気になりますし、楽しく走れるのでありがたかったです。

(Photo by 大木昇太さん)



Q. 一番辛かったことはありますか?
South2でロストに気づいた時です。間違えた所から30分くらい経っていたので戻ってそこから再スタートだと思うときメンタルにかなりきてしまいました。
Q. South2でロストしてしまったそうですが、その時の心境を教えてください。
South1とSouth2の分岐の所でSouth1のほうに行ってしまいました。ロストに気づいた時は体力が消耗していたのでそれもプラスされてかなりメンタルがやられてしまいました。2位の選手に抜かれてしまうんじゃないかという不安と今来た道を戻るのかというなんとも言えない感情でした。(笑)自分がコースをあんまり確認せずに走ったのは反省です。
Q. 表彰式では、少し目に涙を浮かべていらっしゃるようにお見受けしました。そのときは、どのようなお気持ちだったのでしょうか。 優勝を実感された瞬間だったのか、それともレース中のさまざまな出来事が込み上げてきたのか、振り返ってみていかがですか。
泣いてはいないです(笑)ただ、ゴールしてから疲れ切って直前まで横になっていたので顔から足まで全身パンパンに浮腫んでいたのでいつもと違った見られ方になってたかもしれません。(笑)とくにまぶたも腫れていたので泣いてるように見られたかもしれません(笑)
Q. いつも練習されているコースを教えてください。
社会人になって愛知県に引っ越したので、最近よく行くようになっただけですが、金華山周辺や三重の多度山にはよく行っています。距離や累積もその日によってバラバラですが、土日のどっちかに30kmくらい山の中を走ることが多いです。
Q. 練習では一人で山に行くのですか?チームやお仲間と行かれるのでしょうか?
基本的には練習の時は1人です。たまに誘って頂いたりした時は一緒に走らせてもらうこともあるって感じです。
Q. 20代でトレイルランニング、さらに100マイル以上のレースに挑戦されている方はまだ多くない印象がありますが、ご自身の周りには同世代のお仲間はいらっしゃいますか。
短い距離だと結構若い人もいるので、たまに練習させてもらったりしています。たまにはスピード出して走るのも楽しいですしいい練習になるので嬉しいです。
Q. 若い世代にもトレイルランニングの魅力がもっと広まってほしいという思いはありますか。もしあるとすれば、どのようなきっかけや環境があれば興味を持ってもらえると思いますか。
山を走ると聞くと最初にきつそうと思うことが多いと思うんですけど、実際は歩いてる時間の方が多かったりもしますし、自分のペースでいけばそこまで辛いだけではないし、自然の中を走るのは楽しいことも多いので、それをもっと知ってもらえたらなとは思います。
Q. 直近の目標レースやチャレンジは何ですか?
9月の信越五岳100mileと12月のタイで行われるchiang mai thailand by UTMB100mileに出場する予定です。この二つの大会では、結果を求めて頑張りたいなと思います.

Q. 今後の大きな目標や夢があれば教えてください。
UTMBには出場したいなと思ってます.今年も出れる権利はあったんですけど、社会人になり、休みがとれるのかとかもわからないので諦めましたけど、12月の大会で入賞して、来年のUTMBのダイレクトエントリー権を獲得したいなと思っています。
Q. トレランや登山以外で、楽しんでいるアクティビティがあれば教えてください。
スキーやサイクリングは、それほど頻度は多くないですけど、好きでやっています.トレイルランニングはいろんな動きをするので少しはつながってくれたらいいなとは思ってます(笑)特にバックカントリースキーはいろんな斜面を下るので、下りの感覚は身につくんじゃないかなと思ってます。
Q. 「彩の国」大会、来年もまた参加したいと思いますか?
とても大会の雰囲気がいいのでまた来たいなと思います.きついので100マイルでとは宣言できませんが駅伝とかもあるのでいろんな楽しみ方でまた関わりたいなと思います。
Q. 来年参加する方々へのアドバイスがあればお願いします。
多くの方がおっしゃっていますけど、分かっていても飯能アルプスの区間は全然進まなくてメンタルにくるんでそこは覚悟しないとなと思います.あとは、コースや制限時間はものすごく厳しいですけど、それ以外は温かい雰囲気なので、それも楽しみながら、自分のペースでいけばいいんじゃないかなと思います。
Q. 最後に、この大会全体を通じたご感想を自由にお聞かせください。
エイドの方もすごい応援してくださって、とてもエイドの補給食も豊富で雰囲気がとてもいいので、出てよかったなと思います.関東の大会に全国から選手の方々が集まってきて、大きな大会なのにアットホーム感もあるそんな素敵な大会で走らせていただいてとても楽しかったです。

(Photo by 大木昇太さん) フィニッシュシーン! 1948年生まれと2001年生まれ。 53歳違い❤️

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